¶ 設立趣意 ¶


	

ブラジルは、現在BRICsの一つで、政治、経済、産業等の各分野において国際社会をリードする大国に変貌しつつある。日本とブラジルは、距離的には、最も遠い関係にあるが、ブラジルの日系人は6世も含め約160万人に達し、うち31万人超が日本に出稼ぎに来ているという特殊な関係にある。彼らの存在を絆として我が国がブラジルとの関係を様々な面で強化し、一層の友好・協力関係を深めることは、日本の将来にとっては無論のことブラジルにとっても意義深いものと考える。

 在日ブラジル人労働者は、日本の製造業の底辺を支える重要な働き手である。一方、彼らの母国への送金額は、年間2,500億円超と言われ、ブラジルにとっても大きな外貨収入源となっている。彼らが、父祖の地、日本を知ること、そして彼らを通じて日本人が、ブラジル人の考え方や文化に触れることは、互いに両国の絆を深める貴重な機会をもたらしていると言えよう。 

 彼らは一部を除き、未だに日本社会で差別的待遇を受け、厳しい労働環境下におかれているのが現実である。雇用保険や社会保険に未加入のまま放置されたり、有給休暇を一日も貰えなかったり、不当に解雇されて住まいを追い出され、仕事で大怪我をしても労災保険の適用もされず、恨みを持って帰国する者も存在する。日本語もできず、教育も受けられず、就労も出来ず、帰国もできないなどで不良化する未成年者も徐々に増えており、彼らは日本社会の隠れた不安定要因になりつつあると言っても過言ではない。

 我々は、5年以上に渡り、在日ブラジル人労働者とその家族を支援するボランティア活動を通じてこれらの実態を知った。現在も全国各地のブラジル人から多くの相談が寄せられ、具体的に問題解決の支援を行い、実績を積み重ねてきた。言葉、習慣、文化の違い、日本の実情や各種制度・手続を知らず、問題に直面すると立ち往生するデカセギ。無論ブラジル人を中心とする支援団体や労働組合が各地に存在するが、中には、主宰者自身が、日本語は話せるが、読み書きができず、問題解決のノウハウを欠いたまま、これをビジネスと捉えて活動し、相談者が二重に被害を蒙ってしまうケースも少なくない。

 設立責任者である私は、早稲田大学海外移住研究会に所属し、卒業と同時にブラジルに移住した体験と、日本での労働問題の知識、経験を基に、同研究会所属の同窓生同志とともに活動を始めた。現在は、在日ブラジル人のボランティアの多くの参加も得て、草の根として活動を行っているが、ブラジル移住百周年の記念すべき年に当たり、本活動を一層強化発展させるべく、当センターを設立することとした。

 私どもは、母国語で、常時彼らのあらゆる問題に親身に相談に乗り、必要に応じ迅速・的確な情報を無償で提供し、解決の支援を行い、彼らが、日本で安心・安定した生活を確保し、同時に健全な外国人労働者としての地位を確立するための拠り所となること、引いては、改めて彼らを同じ血を引く貴重な存在と見なし、両国の絆を強める縁として、真の日伯友好・親善・協力関係の強化に役立たせることによって、社会貢献に寄与することを目的として努力したい。(平成2084日、理事長加藤仁紀)

 
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