「ブラジルでの日本語教育の重要性」 (谷 広海)

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(筆者プロフィール)
 谷 広海氏は、1964年に早大政経学部を卒業後、渡伯移住されアラゴアス連邦大学法科を卒業し、弁護士及び不動産業者の資格を取得。アラゴアス州マセイオ市で宝石店などを経営し、1989年には同市にタニ・プラザ・ホテルをオープンされました。2002年から10年間はブラジル日本語センター理事長を務め、またブラジル宮崎県人会会長、ブラジル龍馬会会長、ブラジル盛和塾代表世話人などを歴任されています。
しかし、残念ながら本年10月に交通事故にて他界されました。謹んでご冥福をお祈り申しあげます。下記は2008年にブラジル日本語センター理事長時に寄稿されたものです。

 

 

    
         
「ブラジルでの日本語教育の重要性」
  谷 広海(ブラジル日本語センター理事長)

 

 ブラジルでは今年、6月18日に移民100周年を迎えます。当地では茶道、生け花、折り紙、すしなどの日本文化、柔道、剣道、相撲などのスポーツ、農業などの日本移民の功績、太鼓、よさこいソーラン、日本語教育など日系社会の活動などが今年はじめから、連日のようにテレビ、インターネット、新聞などで紹介されています。想像をはるかに超える報道に接し、驚きと同時にブラジル社会が持つ日本や日系人に対する親近感の強さを実感しています。
  100年の間、着実にブラジル社会での地位を築き上げた150万人といわれる日系社会の存在を誇りに感じる今日この頃です。
  しかし、これほどまでのブラジルの熱い眼差しに比べて、日本での関心の薄さが残念でなりません。地球の反対側から日本を見ると、欧米諸国や中国、韓国などに比べて、外交、文化面での確固たる政策がなく、私がボランティアで携わっている日本語教育の将来を考えると心配でなりません。

 

   ブラジルで日本語を勉強している人は2万2千人で、アジア、北米を除く地域では世界最大で、ほとんどの学習者が日本人会などの民間の私塾で日本語を勉強しています。また、日本語を教えるための先生は1200人以上で、その多くが移住者ですが、年齢的な問題で急激に減少しています。これを補っているのが2、3世の先生方です。
  一方、ブラジルを訪れる多くの政治家や政府関係者から「日系人は日本の財産である」という言葉をよく聞きます。しかし、ジェトロのビジネス日本語能力テスト、国際交流基金の日本語能力試験の民営化、JICAによる日本語教師の本邦研修制度の廃止などが行政改革で検討されるなど、中南米における日本語教育を根底から揺るがしかねないことが起こっています。
  特に、民間で教えている2、3世の先生が立派な先生になるためには日本を知り、日本で学ぶことが必要不可欠です。


  当地では、日本人あるいは日系人であることに誇りを持った移民やその子どもたちが日本文化を継承し、勤勉さ、努力、誠実さで移民大国ブラジルに貢献しています。それが故、30年前には「信頼できるニッケイ(ジャポネスガランチード)」という賛辞を得ました。また、今年は「日本から移民してくれてありがとう。日本移民はブラジルの発展に大きく寄与しました」と賞賛されました。
  ブラジルと日本の友好親善関係の絆がさらに太くなるためには、日本文化、日本語を通してブラジルの発展に寄与していくことが重要だと確信しています。
 (時事ドットコムより 転載   http://www.jiji.com/jc/v?p=brazilimin-contribution  )

 

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